商品?技術2021年6月10日

物流業界を取り巻く社会課題は、地球温暖化、重大交通事故、少子高齢化に伴うドライバーをはじめとした労働力不足など、一層複雑化?深刻化しています。日野のお客さまである物流事業者さまにおいては、これらの課題解決に向けさまざまな取り組みを推進されています。
今回は、「環境」と「安全」における大きな課題に真向から取り組まれている西濃運輸さまに、活動にかける想いやその内容、今後の展望などについてお話を伺いました。

<お話を伺ったのはこの方>
(左から) 西濃運輸株式会社 総務部 参与 亀井 寛さん、輸送品質部 部長補佐 小林 勝さん

INDEX

1. 「エコと安全は表裏一体」という考え方

――――主に、B to Bの物流業界を担う存在として、どのような思いをお持ちでしょうか

私たち西濃運輸は、「カンガルー特急便」を中心とした商業物流(B to B)サービス事業を展開しています。特別積合せ事業にロジスティクス機能を併せ持った物流事業者です。全車両が毎日ほぼ同じコースを走行するのが大きな特徴です。
「輸送立国」を使命とし、物流を通じて、お客さまに喜んでいただける最高のサービスを常に提供し、国家社会への貢献を目指しています。私たちの本業を社会の大動脈と捉え、経済活動への貢献はもちろんのこと、企業市民として常に交通安全に心掛け、環境問題にも積極的に取り組んでいます。大きくは、モーダルシフトを主とした「運び方改革」の推進と、「エコ安全ドライブ」の推進の2つを軸にしています。

※地域ごとに荷物の集荷?配達を行う拠点を用意し、拠点間を結ぶ定期的な運行便に不特定多数の荷主の貨物を積み合わせて輸送する形態のこと

――――どのように取り組んでいるのでしょうか

さかのぼれば、2002年3月のISO14001(環境マネジメントシステム)適合登録に始まりますが、約9,000名いるドライバーが一丸となるために、2006年に「エコドライブ推進委員会」を発足し、取り組みをスタートしました。2012年に今の「エコ安全ドライブ推進委員会」に刷新してから、さらに加速しました。これまで、「エコドライブ活動コンクール」(公益財団法人交通エコロジー?モビリティ財団主催)において、2016年、2020年に事業部門の最優秀賞にあたる国土交通大臣賞を受賞しています。
具体的には、毎月、各店所で給油の際に収集した燃費データを委員会が管理?分析し、結果と共に目標や施策などを社内へ共有しています。結果に対する検証と原因を深堀りし、仮説から予防策?改善策を導き出し実践する。これを繰り返しながら、あるべき姿を目指します。
各店所では、認知→確認→行動→習慣付けと段階を踏みながら、どのレベルに達しているかを常に検証しています。

――――「エコ安全ドライブ」とは

「エコ運転」=「安全運転」という考え方が根幹にあります。例えば、「ふんわりアクセル」は、環境への配慮と同時に急発進を防ぎますし、「早めにアクセルを離す」ことは、エコと同時に、追突事故防止につながります。エコと安全の両方に共通している項目を「エコ安全ドライブ」と定めて、独自の取り組みを行っています。
「エコ安全ドライブ5か条」の策定、店所や個人への表彰制度、デジタルタコグラフ?ドライブレコーダーの導入、モデル店制度、安全推進インストラクター制度、「エコ安全ドライブ研修」などに加え、啓発活動として「エコ安全ドライブ川柳」も実施してきました。こうした取り組みを通じて、燃費向上が数値に表れる他にも、表彰者や社内資格者が増えるなど、活動がしっかり根付いたと実感しています。
「エコドライブ活動コンクール」で初めて国土交通大臣賞を受賞した2016年以降は、この活動の「成熟期」と位置付け、「目的の再確認と意識付け習慣付け」「支援機器?環境優良車の導入」「ノウハウの蓄積と継承」を柱にしています。

エコ安全ドライブ5か条

表彰制度「今月のエコ安全ドライバー」をHPに掲載

安全推進インストラクターによる体験型研修

2. 必要不可欠なのは、一人一人の意識と、それを支えるハードやシステム

――――活動の推進には、新しい機器やシステムの導入などハード面でのアプローチもされているようですが

「目的の再確認と意識付け習慣付け」として、安全に関するスマホの啓発アプリを用いて安全や地球環境に関する情報を発信しています。全てのセールスドライバーは、このアプリから一日の業務をスタートします。
また、「支援機器?環境優良車の導入」では、デジタルタコグラフやドライブレコーダーの装着車の導入に加え、稼働管理サポートシステム「HINO CONNECT」の搭載車両も順次増車しています。
また、環境に配慮した車両を使うという社会的責任から、ハイブリッド車の導入も進めてきました。毎年30台を導入しています。2019年には、AIを活用した世界初のハイブリッドシステムを搭載した「日野プロフィア ハイブリッド」を導入しました。
このようなハードの導入は、「エコ安全ドライブ」を推進する上で、非常に効果があります。運行の記録を数値化したり、車両が運転そのものをサポートしたりと、ドライバーが自身の運転を客観的に捉えて、納得しながら運転技術の改善に努められます。

――――「日野プロフィア ハイブリッド」を導入していかがでしょうか

起伏の多い道路で月間約15,000km走行した平均燃費をディーゼル車と比較したところ、平均20%を超えるレベルで向上しました。これは、非常に素晴らしい数値です。いかに燃費が良いかが分かります。燃費を高めるには、ハイブリッド車の特徴である「回生」をする運転ができるかどうかがポイントとなるのですが、車両を導入した当初から日野さんの全面バックアップで運転指導していただきました。省燃費運転のコツを教えていただいた結果が出たと思っています。
ドライバーからも、乗り心地がいいと聞いていますよ。一番のポイントは、マニュアルではなくオートミッション(AMT)であるということです。非常に楽に運転できるので助かっているそうです。

2019年導入「日野プロフィア ハイブリッド」第一号車

――――ドライバー一人一人の技術向上を大切にされていますね

独自の「点検マニュアル」「運転マニュアル」などを通して、「ノウハウの蓄積と継承」を実践しています。車両の大きさや、ドライバーの業務ごとに分け、「エコ安全ドライブ研修」に合わせて更新をかけるなど、きめ細やかに運用しています。
また、研修では、日野さんから運転テクニックなどをご指導いただきながら、運転技術を磨いています。最近は、オンラインで開催するなど形を変えながら続けていますが、受講者、安全推進インストラクターともに人数が増え、着実に普及?継承できていると感じます。

エコ安全ドライブ研修の様子

独自のマニュアル

3. 手を取り合って課題解決に挑み続ける

――――新たな取り組みもスタートされているそうですね

2020年7月に滋賀県と「安全?安心や環境保全等に関する包括的連携協定」を締結しました。行政と連携して物流効率化やCO2排出量削減につながる取り組みを実施することで、環境負荷低減などにより大きな効果が期待できると考えています。地域の活性化や県民サービスの向上に貢献していきたいと思っています。これは、「国家社会に貢献する」という私たちの企業使命の実現でもあります。

――――今後の課題とは

大きく2つあります。
一つは、2050年までのカーボンニュートラル達成です。我が国の温室効果ガス削減目標「2030年度に2013年度比26.0%減の水準」、また「2050年度までに排出量実質ゼロ」を目指して、さらなる挑戦が必要です。
もう一つは、やはり交通事故ゼロです。「全員に対する継続的かつ計画的な指導と安全活動の実施で事故ゼロ」を基本目標に、限りなくゼロに近づけるために指導法の工夫と、環境整備への投資を続けていきます。
しかし、そのどちらとも、私たち事業者だけでは解決しきれない部分があります。その点、日野さんには、交通事故原因の9割といわれるヒューマンエラーを防ぐ技術や、さらに環境に配慮した車両開発など、技術開発を中心に大いに期待しています。
私たちは、「公共の道路を使わせていただいて仕事をさせていただいている」という責務から、これからも全社を挙げて「エコ安全ドライブ」に取り組んでいきます。

日野は、自由に安全に効率的に人と物が移動する「豊かで住みよい持続可能な社会」の実現に向け、お客様の困りごとと社会課題の解決に貢献すべく、技術革新へ取り組み、商品やソリューションを提供してまいります。

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